研究者と金[学生編]

研究者にまとわりつく主要問題の一つ、"金"について。特にここでは、日本の学生時の経済的問題をあげてみる。


研究の道を歩み始めると、金銭的には普通に働いている人と比べて低くなる。
大学卒業後の人生パターンとしては、


1)学部→就職(企業等)
2)学部→大学院(博士前期;2年)→就職(企業等)
3)学部→大学院(博士前期;2年)→大学院(博士後期;3年)→就職(企業・アカポス等)
4)学部→大学院(博士前期;2年)→大学院(博士後期;3年)→ポスドク


といったところだと思う。分野にもよるだろうけれど、生物系だと1・2がやはり主流。それ以上進むのはそれなりの覚悟が必要だ。

海外と日本のシステムの大きな違いとして、日本では博士後期課程の学生はラボからサラリーをもらえない、ということがある。
と言うか逆にかなりの額を毎年大学に納めることを求められる。つまり、博士後期の人間はこの時点で1・2のパターンの人生を送っている人と比べて、収入面で大きく差をつけられる。
就職している人達が社会人として金を稼ぎ貯蓄していくことができるのに対し、博士後期の人は学生でありなおかつ生活費や授業料を捻出しなければならない。これは天と地の差であると思う。

博士後期ともなると、かなりガチでやらないと学位は取れないし、基本バイトをしている時間はないと思う。まぁしたとしても大した額にならない(特殊なバイトでない限り)。

国公立なら授業料は年50万ほど、一人暮らしをしていたら生活費は月10万程度かかる。さらに、見落とされがちだけれど国民年金も学生の間はずっと支払猶予されているだろうと思われるので、それの蓄積額が100万近くになるはず。
ぶっちゃけ、これを自分でなんとかしようとするとだいぶきつい。で、これらを何とかするためにとる方法がいくつかある。
一つは学生支援機構の奨学金。月額9万ほどもらえる。ただし返済義務があるので、使った分がまるまる借金になるという諸刃の剣。でも、基本誰でももらえる。
他、学術振興会の特別研究員制度。DC1・DC2は月20万もらえる。しかも返済義務なし。これだけの収入があれば、貯金はそれほどできないかもしれないがとりあえず自分で何とかできる。ただしごく一部の人しかもらえない。
授業料をなんとかするという点では、授業料免除制度というのがおそらくどこの大学でもある。家族および本人の収入が一定以下であれば支払い免除される。ただし条件は結構厳しめ。

こうしてみると、特別研究員制度がどれほど有難い制度かよくわかる。よって、よほど親が金持ちとかでない限り、誰もがこのオイシイ制度に飛び掛る。しかし、悲しいかな、前述の通り皆がこれを利用できるわけではない。
でDC1・DC2あたりを取れないとなると、どうしても親の脛を齧るという選択肢をとらざるをえない。20代後半にさしかかって、同世代の就職した人達は自分で稼いでいるのにいまだ自分は親の脛齧り。これは結構精神的にきつい。それに全ての家庭が子供に仕送りをできる経済状況にあるとは限らない。

このように、博士後期課程進学にまとわりつく経済的な問題というのは、かなり大きな壁であると言える。日本の学生が博士後期課程に進学をためらうのも納得の理由である。
ていうか、今自分で書いてみて日本の博士課程が理不尽すぎて震えてきたわ。ドイツではラボに所属する学生は当然サラリーをもらえるし(自分で取ってくることも可)、授業料は年間5万円程度(昔は0だった)。少なくとも経済的負担を考えずに研究できる。これと比較すると、日本の状況には、怒髪天を突いたあと髪が金色になるレベルだ。

先日、学術振興会から特別研究員の就職状況調査票が送られてきて、そこに特別研究員に採用されて何に役に立ったか?というのがあったけれど、こんなもん経済的理由以外にあるわけない。DC採用程度のことなんて今後歩む研究者のキャリア中では何の意味も持たないし、ましてや海外では何の評価対象にもなりゃしない。
個人的には、こういうサポートプログラムはなるべく多くの人に利用できるようにすべきだと思っている。というかもしかすると今後は少子化で自動的にそうなっていくのかもしれないな。


こんな感じで、日本で博士後期課程に進学すると、もれなく経済的問題との戦いがついてくる。ラボとしては、博士課程の学生は主力となるはずなので、やはり最低限のサポートはされるような仕組みになって欲しいと思う。



ポスドク編につづく。。。




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