猫が一匹おりま“した”

日本の某所でPIとしてスタート

研究の話

気を抜くと1ヶ月ぐらい放ってしまいそうなのでなんかしら書こうと思うのだけれど、呆れるほどに何も無い日々を過ごしているので、ここらでマニアックに研究の話でもしてみよう。
業界関係者にバレるのが嫌だったので突っ込んだことは書いてこなかったけれど、とっくにバレてるみたいだしもうどうでもいいや〜hahaha。


トウモロコシに感染し腫瘍を作るトウモロコシ黒穂病菌という植物病原菌を使っている。日本にいた頃は糸状菌を扱っていたが、あれは菌糸体や胞子を得るのにいちいち数日培養する必要があったのでイチイチめんどくさかった。ところが、こいつはhaploid cellであるsporidiaが酵母のように生育するので、増殖も速く培養が楽チン。形質転換も簡単だし安定している。実験生物としては素晴らしい。ただ、形態形成の魅力はゼロだ。特に特殊な感染器官も作らないので、cytology的な面白さはあんまりない。

この菌はとっくにゲノムシークエンスもマッピングも完了済みである。この時わかったのが、この菌では多くの分泌タンパク質がクラスターを形成していて、各クラスターセットのうちのいくつかの欠損変異体は病原性に影響を与える。すなわち、この菌においては病原性を発揮する上で重要な役割を持つ分泌タンパク質(いわゆるエフェクタータンパク質)がいくつもあるということである。ここまでは2006年のNでとっくに報告済み。詳しくは書けないが、自分はこのうち腫瘍形成に関わるクラスターを担当している。
このエフェクタータンパク質研究は今のトレンドみたいなところがあり、病原菌屋さんだけでなく植物屋さんも巻き込んで世界中いろいろ進められている。最近では今のところそれほどbreak throughと言えるようなpaperは出てきていない。昨年SからC.fulvumのEcp6が出たが、ストーリーとしてはさほど魅力的でない、、、っていうと偉そうなので、まぁ自分は大して面白いとは思わなかった、ということにしておく。ちなみにうちのボスは「I don't believe this」とバッサリ切り捨てていた。まそんなことはさておき、面白いタンパク質なんてのはそうそうあるもんではないってのもpaperがポンポン出てこない理由でもありそう。また、それを面白く見せるにはやはり菌の変異体を使って示すのが重要になってくるのだが、変異体を作ってみても表現型に出無いとか、菌によってはそもそも変異体を作ることすら難しいとか、まぁいろいろと壁があるようだ。しかしこの点において、黒穂病菌は優れている。遺伝子変異株を作るなど造作も無いし、しかもエフェクター遺伝子変異がきっちり表現型にあらわれてくる。よってこの菌においては、エフェクター研究にあたってストーリーを面白くdevelopできる可能性が十分にあるわけだ(ここらあたりが気に入ったと言うのが自分がこのラボを選んだ理由でもある)。そしてこういう利点から、うちのボスもエフェクターで天下をとりたいと言っている。自分もそんなボスの力になりたいと思って研究に従事している。

しかし、ゲノムシークエンスから6年ぐらいたってまだエフェクターでバシっと言わすようなpaperはうちのラボから出ていない。なので、ここらあたりがなんとももどかしいところである。同僚ポスドクのArminがようやくNに投稿か、と言ったところだが、続いてTop journalに出せそうなところまで進んでいるネタは他にまだ無いというのが実情。潜在的には面白いというのはいくつかあるのだが。「そのあと続くのはもちろんこの自分」と勝手に心に誓っているが、まだそんな事いえるような段階にはいないし、口にすると死亡フラグのような気がするので、内に秘めておくだけにしている。強い思いなくしては何事も成し遂げられない、が簡単に口に出すと口だけ野郎になってしまいがちなので気をつけたい。あ、でもこんなところで吐露してたらいっしょか。まぁいいや。ま、なんしかこのラボをエフェクター関係でトップに立たせるためによい仕事をしたいということです。さて、どこまでやれることやら。


しかし、書き始めると毎回毎回無意味に長い文章になってしまうのがいかんな。もっと端的にまとめろ糞野郎、って言われそうだ。しかも、最後の方は研究の話っていうか、ラボの内情を話しただけだし・・・

ま、基本的にここは独り言所なので、適当な感じで別にいいか。日本語で長文を書くと疲れるんですよね、ぶっちゃけね。でも研究がらみの話はまた書きたいな。これしか引き出し無いし。


というわけで特にまとめとかオチもありません。
歯磨いて寝よ。






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